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2026年度「税制改正大綱」の主な改正点【360号】

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税理士法人 中央総研

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中央総研について

自由民主党と日本維新の会両党は令和7年12月19日に令和8年度(2026年度)与党税制改正大綱を決定しました。
具体的にどのような改正が行われたか主な改正点をまとめてみました。

Ⅰ 個人所得課税

①基礎控除の引き上げ

合計所得金額が2,350万円以下である個人の控除額を4万円引き上げます。

  • 合計所得金額が2,350万円以下(62万円)
  • 合計所得金額が2,350万円超2,400万円以下(48万円)
  • 合計所得金額が2,400万円超2,450万円以下(32万円)
  • 合計所得金額が2,450万円超2,500万円以下(16万円)
  • 合計所得金額が2,500万円超(0円)

また基礎控除の特例として各年度に下記の金額が加算されます。

 令和8年分及び令和9年分

  • 合計所得金額が489万円以下(加算額42万円)
  • 合計所得金額が489万円超655万円以下(加算額5万円)

令和10年分以後

  • 合計所得金額が132万円以下(加算額37万円)

②給与所得控除の最低保障額の引き上げ

  • 給与所得控除について65万円の最低保障額を令和8年分より69万円に引き上げます。
  • 給与所得の源泉徴収税額表及び賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表の改正は令和9年分から適用されます。
  • 給与所得控除最低保障額の特例として令和8年分及び令和9年分については5万円が加算されます。

上記の結果を踏まえ基礎控除・給与所得控除の特例を合わせて令和8年及び令和9年は給与収入178万円まで所得税は非課税となります。

③住宅ローン控除の拡張

  • 住宅ローン控除の適用期限が令和12年入居分まで5年延長されます。
  • 認定住宅等の新築の場合では最大で借入限度額4,500万円(中古住宅の場合は3,500万円)、控除率0.7%、控除期間13年となります。

④NISAの拡充

  • 口座開設が18歳未満でも可能になりました。
  • 未成年つみたて投資枠が設定できるようになり年間投資枠は60万円まで非課税保有上限額は600万円となりました。
  • 特定事由に該当すれば12歳から引き出しが可能になりました.

⑤防衛特別所得税の創設

日本の防衛力強化の財源を確保するために防衛特別所得税が創設され基準所得税について1%の課税が行われます。課税開始時期は令和9年分からで終了時期は今のところ定められておりません。

⑥復興特別所得税の改正

復興特別所得税については税率が2.1%から1.1%に引き下げられます。課税期間の終了時期は10年間延長され2037年分から2047年分までとなります。

➆食事支給の非課税限度額の引き上げ

  • 企業が従業員に提供する食事の使用者負担額の非課税限度額が月額3,500円以下から7,500円以下に引き上げられます。
  • 深夜勤務について現物に代えて金銭支給する場合の非課税限度額も1食あたり300円以下から650円以下に引き上げられました。

Ⅱ 法人課税

①中小企業の少額減価償却資産特例の拡充

  • 即時償却可能な減価償却資産について対象資産の取得価額を30万円未満から40万円未満に引き上げ(年300万円の限度額は変更なし)適用期限が令和11年3月31日まで3年間延長されます。ただし対象となる法人から常時使用する従業員数が400人を超える法人は適用除外となります。

②賃上げ促進税制の見直しと廃止

大企業

令和7年度(2026年3月31日)をもって制度が廃止されます。

中堅企業

令和8年度(2027年3月31日)をもって制度が廃止されます。令和8年4月1日から令和9年3月31日までに開始する事業年度については下記の改正が行われます。

  1. 継続雇用者給与等支給額の増加割合要件を3%以上から4%以上とします。
  2. 控除率の加算の要件を増加割合が5%以上の場合とします。
  3. 教育訓練費による上乗せ措置を廃止します。

中小企業

令和8年4月1日から令和9年3月31日までに開始する事業年度より教育訓練費の上乗せ措置が廃止されます。

Ⅲ 消費課税

①インボイス制度の経過措置の見直し

インボイス制度に登録していない免税事業者から課税仕入れを行った場合は仕入税額控除を受けることはできませんが経過措置により一定期間については仕入税額控除ができる場合の控除割合の特例が2年間延長され控除割合の見直しも行われました。

  • 令和8年10月1日~令和10年9月30日の期間(控除割合70%)
  • 令和10年10月1日~令和12年9月30日の期間(控除割合50%)
  • 令和12年10月1日~令和13年9月30日の期間(控除割合30%)
  • 令和13年10月1日以降(控除割合0%)

②インボイス制度の2割特例の見直し

免税事業者であった法人や個人事業主がインボイス制度に登録して課税事業者となり消費税の申告を行う場合には経過措置として売上高の消費税額の2割を納税する2割特例の経過措置が設けられております。この2割特例は令和8年9月30日が属する事業年度で終了となりますが個人事業主に限って令和9年分及び令和10年分の課税期間については売上高の消費税額の3割を納税する3割特例が創設されました。

法人

2割特例の延長はなく令和8年9月30日が属する事業年度で終了になります。

個人事業主

令和7年分及び令和8年分は2割特例が選択可能です。
令和9年分及び令和10年分は3割特例が選択可能です。

(西村)

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