ニュース

2026年の日本経済の見通し【361号】

この記事の執筆者

税理士法人 中央総研

税理士・医業経営コンサルタント・社会保険労務士などの専門家が在籍。創業から30年以上の豊富な経験とノウハウを活かし、税務会計、事業承継、M&A、コンサルティングまで、お客様の多様なニーズにワンストップで対応している。

中央総研について

謹んで新春のお祝詞を申し上げます。

昨年中は格別のご厚情を賜り、厚く御礼申し上げます。

2026年の日本経済は、物価変動の影響を除く実質の成長率が0%台後半となり、0.6%程度(日銀推計)とされる潜在成長率並みの成長になることが予想されます。米国関税の影響や中国経済の減速を受けて輸出が弱含む一方で、日本政府が実施する物価高対策による物価上昇率の低下を背景に、個人消費は堅調に推移するうえ、好調な業績を背景に企業の設備投資が増加することから、国内需要が景気を下支えすることが期待されます。

高市政権の物価高対策

高市首相は、「責任ある積極財政」の考え方のもと、戦略的に財政支出を行うことを表明しています。日本政府は、昨年11月に21.3兆円規模の総合経済対策を決定し、電気・ガス料金の補助などの家計支援や、ガソリンの旧暫定税率の廃止などの減税を含めた物価高対策に、11.7兆円を充てることにしました。さらに、12月に決定された2026年度予算案も、一般会計総額が122.3兆円に達し、2年連続で過去最大を更新しています。
現在の物価高の原因には、食料品の不足や円安のほか、人手不足による実質的な供給不足(需要超過)も一因になっていると思われます。しかし、高市政権の物価高対策は、増税や歳出削減により需要を抑えるものではなく、減税や歳出拡大により消費を下支えする性格が強い政策と言えます。政府の政策による消費の下支えは、需要を増やし、企業による価格転嫁を後押ししますので、高市政権による物価高対策は、逆に将来の物価の上昇率を高めるリスクがあると考えます。
政府による積極的な財政支出は、財政悪化が懸念されるうえ、金利や物価の上昇圧力を強める可能性があるものの、今年に限って言いますと、電気・ガス料金の支援、ガソリンの暫定税率の廃止や所得制限なしの高校授業料無償化などの効果により、今年の物価上昇率は前年よりも1%程度低下する効果を期待することができます。

実質賃金のプラス転化

ここ数年は、賃上げによる名目賃金の上昇が続いていましたが、物価の上昇に賃上げが追い付かず、名目賃金から物価変動の影響を除いた実質賃金はマイナスが続いていました。厚生労働省が昨年12月に発表した昨年10月の毎月勤労統計調査(従業員5人以上)によりますと、実質賃金は前年同月比0.8%減で、25年1月以来10ヶ月連続のマイナスとなりました。名目賃金(現金給与総額)は前年同月比で2.5%伸びたものの、物価上昇率(持ち家の家賃換算分を除く総合)3.4%には届きませんでした。
仮に前述の政策効果により今年の物価上昇率が低下しますと、今年は実質賃金がプラスになる可能性があります。米国の関税政策の影響などで、今年の名目賃金の上昇率は、昨年を下回る可能性がありますが、人手不足と企業業績の拡大を背景に、今年も賃上げは継続される見通しです。賃上げが継続し、物価の上昇率が低下することで、今年は実質賃金がプラスに転じる可能性があります。実質賃金がプラスに転じますと、家計の購買力が高まり、個人消費は堅調に推移すると思われます。

堅調な設備投資

内需では、設備投資の増加も見込まれます。財務省が昨年12月に発表した7〜9月期の法人企業統計によりますと、設備投資(金融・保険業を除く全産業)は前年同期比で2.9%増と伸び率は鈍化しているものの、3四半期連続で増加しています。
全産業(金融・保険業を除く)の経常利益も、前年同期比19.7%増の27兆5385億円でした。全産業の経常利益は、4四半期連続のプラスとなり、7〜9月期としては過去最高となりました。企業業績は名目値ですので、企業業績の拡大は物価上昇の追い風も受けています。前述の通り、個人消費が堅調であれば、企業は価格転嫁をし易くなりますので、今年も企業業績は好調を維持することが見込まれます。
この好調な企業業績を背景に、人手不足解消に向けた省力化投資やDXに関連したソフトウェア投資が進むことが見込まれます。さらに、高市政権が重点政策に掲げるAI・半導体、エネルギー安全保障など17分野における「危機管理投資」「成長投資」の支援策が、民間企業による国内投資を促し、設備投資の増加傾向が続くことが期待されます。

企業倒産の増加

以上のことから、今年の日本経済は、高市政権の経済対策の効果による物価上昇率の低下を背景に、実質賃金が上昇に転じることで個人消費が底堅く推移し、人手不足の中、好調な企業業績を背景とした設備投資の増加傾向が続くことから、国内需要を中心に景気が下支えされる見込みで、潜在成長率並みのプラス成長になることが予想されます。
このように、国内需要は堅調を維持するとの明るい見込みがある一方、企業の倒産や廃業が増加傾向にあります。2025年の企業倒産は、昨年11月までの累計が9,372件(前年同期比2.2%増)で、2年連続で1万件を超えた見通しです。昨年の企業倒産は、負債1億円未満の割合が7割を超えており、規模の小さい倒産が増えていたことが、中小企業が厳しい経営環境に直面していたことを物語っています。今年は人手不足、物価高の継続に加え、金利の上昇も課題となりそうです。中小企業においては、企業存続のため、これらの課題に対処する取り組みが、今年の企業経営に欠かせない要素となりそうです。

本年も何とぞよろしく、ご愛顧のほどお願い申し上げます。

(小島淳次)

税理士法人中央総研 知識と経験を活かし、お客さまに寄り添う

中央総研の税理士がお困りごとを

サポート!

  • 税務会計業務
  • 資産税対策
  • 労務業務
  • 相続税申告

など

お電話でのお問い合わせ

052-232-7800

お問い合わせ

注目記事

新着情報

一覧に戻る
OLD
2025年12月26日 2026年度「税制改正大綱」の主な改正点【360号】

別の記事も読む

行事