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完全子法人株式等の配当 源泉徴収が不要に【307号】

世の中では、10月1日から適用が開始される消費税のインボイスシステムの話題で持ちきりですが、今回は敢えて視点を変え、配当に係る事務手続きの負担軽減が見込める改正で、忘れてはいけない改正についてお伝えしたいと思います。

その改正とは

一定の内国法人(注) が支払を受ける配当等で次に掲げるものについては、所得税を課さないこととし、その配当等に係る所得税の源泉徴収を行わないこととされました。この改正は、令和5年10月1日以後に支払を受けるべき配当等について適用されます。

(注) 「一定の内国法人」とは、内国法人のうち、一般社団法人及び一般財団法人(公益社団法人及び公益財団法人を除きます。)、労働者協同組合、人格のない社団等並びに法人税法以外の法律によって公益法人等とみなされている一定の法人(以下「一般社団法人等」といいます。)以外の法人をいいます。

次に掲げるものとは

  1. その一定の内国法人がその配当等の額の計算期間の初日からその末日まで継続して発行済株式等の全部を保有する株式等(注1、2)(以下「完全子法人株式等」といいます。)に係る配当等
  2. その配当等の額に係る基準日等(配当等の額の計算期間の末日等)(注3)において、その一定の内国法人が直接に保有する他の内国法人(一般社団法人等を除きます。)の株式等の発行済株式等の総数等に占める割合が3分の1超である場合における当該他の内国法人の株式等(注2)(上記(1)の完全子法人株式等に該当する株式等を除きます。)に係る配当等

(注)

  1.  法人税法第 23 条第5項に規定する完全子法人株式等をいいます。
  2.  その一定の内国法人が自己の名義をもって有するものに限ります。
  3.  法人税法施行令第 22 条第1項に規定する基準日等をいいます。

(令和5年4月 国税庁 現所得税改正のあらまし 参照)

100%グループ関係にある完全子法人から、親法人が配当を受ける場合は、配当金はその全額を益金不参入とされ、その配当から源泉徴収された所得税等は、親会社の申告書において、所得税額控除がされていました。このように法人税が課税されないにも関わらず、源泉徴収の対象となっていることに対して、効率性の観点(税務当局サイド側や内国法人サイド側の両方の事務負担の軽減)からの改正となります。

いかがでしたでしょうか。今回の改正を見落とし、昨年と同様の作業を行ってしまった結果、還付手続きを行うために、かえって事務効率が下がるということにもなりかねません。必ず押さえておかなければならない改正です。

(川合)

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