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交際費等の範囲から除外される金額引き上げ【311号】

今年もあとわずかとなりましたが、令和6年与党税制改正大綱が発表されました。様々な改正項目がありますが、今回は法人税における交際費の改正について注目をしました。発表された令和6年度与党税制改正大綱を参照しますと交際費の損金不算入制度について、次の措置を講じた上、その適用期限を3年延長されます。

  • 損金不算入となる交際費の範囲から除外される一定の飲食費に係る金額基準を1人に当たり1万円以下(現行:5,000円以下)に引き上げる
  • 接待飲食費に係る損金算入の特例及び中小企業に係る損金算入の特例の適用期限を3年延長する。

(注) 上記改正は、令和6年4月1日以後に支出する飲食費について適用する。

とあります。

そもそも現在の交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人がその得意先、仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(以下「接待等」といいます。)のために支出されるものとされています。さらに、交際費等から除かれるものが規定されており、それは、

(1)もっぱら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用

(2)飲食費その他これに類する行為(以下飲食等といいます。)のために要する費用(専らその法人の役員もしくは従業員またはこれらの親族等に対する接待等のために支出するものを除きます。)であって、その支出する金額を飲食等に参加した者の数で割って計算した金額が5,000円以下である費用

なお、この規定は次の事項を記載した書類を保存している場合に限り適用されます。

  1. 飲食等のあった年月日
  2. 飲食に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名又は名称及びその関係
  3. 飲食等に参加した者の数
  4. その飲食等に要した費用の額、飲食店等の名称および所在地
  5. その他飲食等に要した費用であることを明らかにするために必要な事項

(注)上記の費用の金額基準である5,000円の判定や交際費等の額の計算は、法人の適用している消費税の経理処理(税抜方式又は税込方式)により算定した価額により行います。

(3)その他の費用

  1. カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいその他これらに類する物品を贈与するために通常要する費用
  2. 会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用
  3. 新聞、雑誌等の出版物または放送番組を編集するために行われる座談会その他記事の収集のために、または放送のための取材に通常要する費用

とされています。従って今回この金額が、お伝えした通り金額が引き上げられることになります。上記の通り消費税を税抜経理により経理している法人は、一人当たり11,000円の支払いまでの得意先との飲食代が交際費に算入されないことになります。法人によっては、この規定を基準として接待金額の見直しをするところも出てくると思います。これにより、インバウンドの恩恵を受ける飲食店以外であっても、飲食業界の活性化が期待できるのではと思っています。

ただし、来年の4月1日以降の取引先との飲食ということをお忘れなきように。

 (川合)

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