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【251号】住宅ローン減税の意外な落とし穴

住宅ローン減税は自ら申告しないと還付されない

 コロナ禍にあっても変わらないのが、住宅ローン減税の適用を受けるには確定申告が必要な点です。今年はパソコンやスマートフォンからの申告を積極的に推奨していますが、必ず申告手続きは必要となります。

 サラリーマンの場合、所得税は自動的に給与から天引き(源泉徴収)されます。本人の意思に関係なく無条件で源泉徴収されることになりますが、住宅ローン減税は還付申告しないと控除されません。

 税務署は“取りっぱくれ”を防ごうと強制的に所得税等を徴収する一方、税金の還付(支払い)は本人からの申告による請求がないと支払いません。住宅ローン減税は自らアクションを起こさないと、その恩恵には一切あずかれないのです。自治体や税務署から自動的に還付金が入金されることはありません。

 税制は知っているか知らないかで、成否を二分すると言っても過言ではありません。また、住宅ローン減税には、いくつもの盲点(留意点)が存在しています。それだけに

「知らなかった」

「こんなはずでは……」

と後悔しなくて済むよう以下に注意してください。

 その関心の高さから、住宅ローン減税の適用を受けるための条件を説明した雑誌やウェブサイトは非常に多いのですが、一度申告して承認された後、途中で適用条件を満たせなくなると、その年分は税還付が受けられなくなる事についての説明は殆どされていません。

 2019年度税制改正では適用期間が10年から13年へと延長されましたが、誰もが当然に13年間還付されると思っているのではないでしょうか。この13年間は「最長」であって、13年間を約束されているわけではありません。

 「マイホーム」=「本人が所有かつ居住するための住まい」と定義され、そこに生活拠点としての実態(生活基盤)を伴って初めて「マイホーム」と認知されます。

 そのため、住宅ローン減税の適用を受けるためには「新築または取得の日から6カ月以内に居住の用に供し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること」(居住要件)が求められています。

 しかしながら、「会社員の宿命」である転勤が勤務先から命じられると、その間は住宅ローン減税が受けられなくなり。せっかく控除期間13年間の「権利」を取得していても、その間、たとえば6年間転勤してしまうと、実際に税還付される期間は差引き7年間(控除期間13年間-転勤期間6年間)になってしまいます。

 つまり、マイホームに「住み続ける」という条件を満たさなくなると、その分控除期間はから除かれてしまいます。

 当然、期間が短縮されれば、同様に控除額も減額するため、控除額を満額もらえると思っていた人には、思わぬ出費となってしまいます。

 

単身赴任の場合は救済措置が適用される

 しかし、悲観する必要はありません。さすがにこのルールは厳しいとの観点から、「住み続ける」という条件には例外規定が設けられています。たとえ転勤が言い渡されても、本人が単身赴任する場合、家族が住み続けていることで「本人も転勤期間中、居住している」とみなされ、住宅取得控除は継続します

 家族全員で転勤し、マイホームが空き家(第三者への賃貸も含む)になった場合は、控除期間はから除かれてしまいます。たとえば親世帯と子世帯が2世帯で同居しており、扶養関係(子供世帯が親世帯を扶養)にある親世帯が住み続けていれば、子世帯が全員で転勤してしまっても、住宅ローン減税は継続されます。

 つまり、居住実態があるかどうかが重要となります。単身赴任する会社員にとっては、大変ありがたい措置といえます。

 注意点(盲点)としては「会社(勤務先)都合によるやむをえない転勤」の場合のみ、例外規定が適用されます。たとえば自らの希望で海外へ長期留学するなど、自己都合でマイホームを留守にした場合は救済されません。

 こうした背景には従順たるサラリーマンを支援しようという目的の為、年単位で自宅を留守にする場合、自己都合では、ストップ(その期間)することを覚えておいて下さい。

(新堀)

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