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【202号】先行き不透明な2019年の日本経済

 謹んで新春のお祝詞を申し上げます。

 昨年中は格別のご厚情を賜り、厚く御礼申し上げます。

 

 2018年は、自然災害に伴う需要低下も見られましたが、好調な企業収益を背景に雇用が増え、企業は給与を上げて従業員の確保に努め、個人の所得の増加が消費を支えました。企業の設備投資も省力化・自動化投資を増やしているため底堅く、今年1月には国内景気の回復局面が74ヵ月に達し、戦後最長を更新すると見込まれています。

 しかし、2019年は、ここへきて不透明感を増してきた世界経済の動向と、今年10月1日に予定されている消費税率の8%から10%への引上げが、景気の減速リスクとみられています。

 

 消費税率引上げについては、2014年の消費税率の引上げが個人消費を冷やし、景気停滞を招いたことから、消費税率10%への引上げ時にも景気悪化が懸念されています。これに対し、政府は手厚い消費税増税対策を打ち出しています。軽減税率の導入をはじめとして、教育無償化・負担軽減、キャッシュレス決済によるポイント還元、プレミアム付き商品券、住宅購入支援、自動車購入支援などの手厚い増税対策を実施することにより、個人消費や経済成長率の押し下げ効果が小さくなり、景気の腰折れを防ぐとの見方が出ています。

 

 一方、世界経済は景気減速や米中貿易摩擦など先行き不透明感が強まっています。特に米国の保護主義が大きなリスクにつながると考えられます。米国が既に実施している鉄鋼・アルミの輸入制限と対中追加関税に加え、中国からの輸入品への追加関税率を10%から25%に引き上げる措置を実施した場合、米中のみならず世界のGDPを押し下げます。2019年の日本経済は、この影響に、日米貿易交渉の影響が加わることになります。

 米国の貿易収支赤字国を上位から見ていくと、中国、メキシコに次いで日本は第3位です。米国の貿易赤字を分野別にみると、赤字規模が特に大きい分野は、自動車・自動車部品であることから、日米貿易交渉の中心は自動車分野になると見込まれます。日本政府が、自動車分野での譲歩を強いられた場合、それは日本のGDPを押し下げることにつながります。

 さらに、ムニューシン財務長官は、日米貿易協定に為替条項を盛り込む必要性に言及しました。米国は、日本が金融政策により不当に円安を誘導し、米国の対日貿易赤字を拡大していると批判することで、貿易交渉において日本側に譲歩を迫ってくると考えられます。もしこの協定をきっかけに実際に円高が進みますと、日本の輸出企業全体の収益に悪影響が出てくることになると考えられます。

 

 日本の景気回復は、世界経済の拡大に支えられた輸出の伸びがその背景にありましたが、中国経済の減速からすでに輸出が鈍化しつつあり、その輸出に陰りが見えています。今後、米中貿易摩擦の影響が広がってくることや、米国の減税効果の剥落で米国経済が減速し、輸出がさらに鈍化することも考えられます。この米国の景気減速に加え、FRBによる利上げ終了が意識され始めると、ドル安基調となり、これも日本の輸出企業に悪影響を与えることになると考えられます。

 

 そして、輸出の伸びとともに日本経済の拡大を支えてきたことが、設備投資の拡大です。特に高い伸びを示してきた非製造業の建築着工は、すでに頭打ちとなっており、今年後半には、五輪特需が一巡し、設備投資が減速することが見込まれます。さらに、製造業の設備投資についても、ここにきて増えていましたが、世界経済の減速が明確になってくると、製造業の設備投資も抑制される可能性があります。

 

 さらに株価の下落も不安材料です。株価の下落は、逆資産効果を生み、個人消費を冷やす恐れがあります。また、株安が進みますと、安全性が高いとされる円に資金が流入し、円高が強まる可能性も高まります。この円高基調が強まった場合も、日本の輸出企業の業績を下押しします。

 

 このように、2019年は世界経済が減速し、日本経済を不安定にするとの見方が大方の予想です。米国・中国・日本の景気対策が、世界経済の減速を防ぐことに期待していますが、内需が底堅いと言われている今のうちに、景気減速への備えをしておく必要があると思います。特に中小企業は、景気減速の影響を大きく受けるため、足元の経済環境と会社の業績が堅調なうちに、経済環境の変化に備えることが必要な一年になると思います。

 

 本年も何とぞよろしく、ご愛顧のほどお願い申し上げます。

(小島淳次)

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2019年01月04日 【201号】平成31年度税制改正大綱公表

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