第69号 2008.09.25
100年に1度の金融危機が、マグマの噴出のように一気に表面化しました。今年の3月に大手証券会社であるベアー・スターンズがJPモルガン・チェースに救済されて以来、サブプライム・ローンなどの不良債権が、すべての金融機関の資産を蝕み、資本を毀損している実態が顕在化したわけです。
米政府は、9月7日に経営難に陥っている連邦住宅抵当金庫、連邦住宅貸付抵当公社に20兆円超の公的資金を供給するという史上最大の企業救済を行いましたが、大手証券のリーマン・ブラザーズは救済せず、同社は負債総額63.8兆円という史上最大規模の破綻となりました。
この金融危機が、世界の株式市場の乱高下を招いています。そのため、米国政府は金融市場の混乱を回避するため、保険最大手のAIGに9兆円の融資による救済に踏み切りました。さらに、大手銀行のバンク・オブ・アメリカは、経営危機の証券大手メリルリンチを救済合併することになりました。
しかし、まだまだ米国の住宅価格の下落が続いており、金融機関の不良債権は拡大し、資本の毀損を補填しようにも、増資の引受け手がないため、貸し剥がしをせざるを得ない状況にあります。

その結果、企業の倒産、失業者の増加が、住宅ローンの焦付きを発生させ、さらに住宅の競売を通じて住宅価格が下落し、住宅価格とローン残高との差額が不良債権化し、今後さらに金融機関の破綻が続出するというマイナスの連鎖が予想されます。

そこで、米政府は75兆円を投入して金融機関から不良債権を買取る対策等あらゆる政策を総動員するようですが、その成行きが注目されています。
この激動する環境のなかで、誕生した自民党の麻生新総裁は、「日本経済は全治3年と診断し、景気対策を優先し、積極的な財政支出を行う」という方針ですが、グローバル社会では米国や途上国などの景気動向の影響が大きいため、赤字国債発行による財政支出を行っても、次の通り債務超過している日本国の財政状態を悪化させるだけで、その効果は期待できないと思います。
07年3月末の日本のB/S(単位:兆円)

むしろ、財政支出の結果が、私たちの老後、あるいは、子供や孫の世代に負担をもたらすことになると思います。もう、国を頼ることは出来ません。
どんな不況でも、誰も助けてはくれません。
私たちは、お客様のニーズを満たすように全力で仕事に取組み、第2次世界大戦以来の金融危機が鎮まるのを待つしかないと思います。愚痴や弱音を吐かないで、まっすぐ前を見て歩けば、日のあたる道が開けてくると思います。
平成20年5月9日、参議院で満場一致で成立した「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(以下「円滑化法」という)が、平成20年10月1日から施行されます。(ただし、「遺留分に関する民法特例」(以下「民法特例」という)だけは、平成21年3月1日から施行するものとされています。)
この「円滑化法」が生まれた背景は、地域経済を活性化し、地域の雇用を支えるという重要な役割を担うべき中小企業が、現経営者の高齢化に伴う事業承継の不首尾によって廃業に追い込まれ、或いは後継者に事業用資産の集中が図れず企業が弱体化する例が増えた為、事業承継の諸問題をクリアーして事業承継をスムーズに進めることを目的として創られました。
この法律は、大きく次の三つの柱から出来ています。
先代経営者の遺産の多くが自社株などの事業用資産である場合に、複数の相続人がいると民法の遺留分の制約を受けることになり、後継者に事業用資産を集中させることが出来なくなってしまいます。そこで相続人全員の合意のもとに、自社株等の事業用資産を遺留分算定から除外しようとする制度です。
相続に伴い分散した株式の買い取り資金の必要、或いは経営者の交代により信用状態が悪化し、銀行の借入条件や取引先の支払い条件がきびしくなった事、または相続税の納税資金の必要など、事業承継に支障があるとして経済産業大臣が認定した中小企業者に政府が金融支援をする制度です。
株式や事業用資産を相続すると、相続税が課されます。しかし売ってしまって換金することが出来ない資産だけに、納税資金を手当て出来ないという問題がつきまとっていました。そこで、後継者が被相続人から相続した自社株式の80%の相続税の納税を猶予しようとする制度です。
来月は、これらの制度の適用要件等をまとめて、お知らせ致します。
世の中の会社の99%以上は中小企業であるといわれていますが、直近(2006年)の総務省の統計資料によると、いわゆる「中小企業」(個人事業所を除く)は全国に約150万社あるようです。この統計によると、2001年の中小企業数は約160万社とされていますので、5年間で約10万社も減少していることになります。
もちろん一方で新規開業もありますので、これを加味して総数で見ると、5年間で45万社(年平均9万社)、実に中小企業全体の3分の1近くの会社が淘汰されていることになり、極めて厳しい現状が伺えます。
では、中小企業の経営者がこのような廃業という決断に至った理由はどこにあるのでしょうか?
2006年版中小企業白書で公表された経営者に対するアンケートによると、比較的財務内容が堅調な会社(資産超過会社)であっても廃業する理由として、「市場の先行き不透明」のほかに、「後継者が見当たらない」という理由が全体の1/3を占めています。
同アンケートによると、全体の95%に相当する大半の経営者が「事業を何らかの形で誰かに引き継ぎたい」とお考えのようです。一方現役社長の平均年齢は58.2歳。引退を希望される平均年齢は64歳ですので引退まであと5年となって、事業を継続したいのにも関わらず、(特にお身内に)適切な後継者が見つからないために、やむなく廃業という苦渋の決断をなさる経営者が多くいる様子が伺えます。
そこで、最近急速に増加しているのがM&Aによる事業承継、すなわち親族以外への会社や事業の譲渡です。M&Aというと、上場企業や一部の大企業だけの世界の話というイメージが強いのですが、実際には最近のM&A件数の8割は中小企業に対するものといわれています。
このように中小企業においてM&Aが増加している背景には、M&Aに対する理解の浸透がありそうです。実際、私共がM&Aのお手伝いさせていただく会社の社長様の多くが、「自分の会社が売れるとは考えもしなかった。」とお話されています。
かつては「身売り」「責任放棄」とネガティブなイメージのあったM&Aですが、M&Aによって事業、ひいては雇用を守ることこそ、責任を果たしたといえるのかも知れません。