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[164号] 辛うじて0.2%のプラス成長!

ニュ-ス

2016年度4~6月の実質GDP
辛うじて0.2%のプラス成長!

2016年の7月号で「アベノミクスの要は円安・株高であり、デフレ脱却のためには為替を円安に持っていくことがポイントです。そのため、海外からの批判を覚悟に日銀は「追加緩和」に踏切るかどうかがこれからの注目点です。」とコメントしました。とくにヘリコプターマネーで有名なバーナンキ前FRB議長と安倍総理との会談などから市場は大胆な金融緩和を期待していたにもかかわらず、7月の日銀の追加緩和は、次の通り株高には効果があるものの、為替に関してはまったく期待外れの内容でした。
① 年3.3兆円のETFの買取を6兆円に増やす。
② ドル供給の総枠を2.5兆円に倍増する。
③ 国債80兆円の買増しなどを維持する。

期待外れの日銀とFRBの金利引上げ先送り

しかも、量的緩和の縮小に向かっている米国のFRBは、2014年1月に資産買い入れ額の縮小、2015年12月に最初の金利の引上げを行うなど金融政策の正常化を進めているにもかかわらず、ドル高による米国の製造業の輸出の落込み、消費者物価の下押し圧力などを考慮し、「金利の引上げを見送りました。
この結果は、「日米の金利差縮小とリスク回避の円買いによって、円高ドル安が進行しています。

このような円高は、輸出の減少をもたらし、鉱工業生産の低下を通じて残業時間の減少・現金給与総額の減少をもたらします。その結果、消費の低迷を招き、企業経営者のマインドを悪化させ、設備投資の減少をもたらすことは確かです。

住宅投資と公共投資によりプラス成長

このような円高を背景とした経済環境を反映して、先日公表された2016年4~6月の実質経済成長率は年率換算でわずか+0.2%の低成長でした。
GDPの60%を占める個人消費は名目ではマイナスであるうえ、輸出も設備投資も前期比マイナスです。辛うじてプラス成長になったのは、超低金利の効果が出ている住宅投資と公共投資の増額効果によるものです。

安倍政権が、2兎を負う矛盾を回避し財政再建を後回しにした効果が表れたものであり、そうでなければ、マイナス成長となったと思われます。

上場企業の2016年度の予測は減収減益

実際に、上場企業の2016年度の売上高や経常利益の予想は、次のように全産業の平均は減収・減益の見通しとなっています。

代表社員会長 小島興一

税金ミニ情報

安定株主として一般社団法人活用
~従業員持株会に代えて~

従業員持株会は、従業員の福利厚生やモチベーションアップの主目的に加え、事業継承における安定株主対策として機能してきました。しかし、業績低迷により無配が続いたり、或いは従業員の退職が相次ぐなどの状況の変化のために、株式の次の担い手となる従業員を集められないケースも増えて来ました。
このような場合には、退会希望者が出るたびにオーナー一族又は会社が買い取りながら、従業員持株会を廃止しいていくという検討が、先ず行われます。
しかし、オーナー一族が時価よりも低い価額で自社株を取得すると贈与税が課されます。会社が自己株取得をした場合にも、低い価額の場合は、他の株主との間のみなし贈与が発生する可能性があります。この問題を解決するには、オーナー一族でもなく発行会社でもない第三の受け皿として一般社団法人に、従業員持株会の保有株式を譲渡する事が検討出来ます。
一般社団法人には持分が無いので、オーナー一族の同族グループに入ることは無く、一般社団法人単独で原則評価の同族株主とならない限り、配当還元価額以上で取得すれば受贈益課税は無いためです。

常務理事 蒔田知子

税金ミニ情報

法定相続情報証明制度
~手続きの簡素化~

法務省は、相続手続きを簡素化する「法定相続情報証明制度」(仮称)を新設すると発表しました。
簡単に言うと、「遺産手続きの際に、登記所や金融機関に対して相続関係を証明できる証明書を法務局が発行する」というものです。
現行制度では、相続が発生すると、不動産相続登記では、被相続人の出生から死亡時までの戸籍謄本や相続人全員の戸籍謄本・住民票など関係書類一式を用意し、不動産の管轄が異なる法務局ごとに提出する必要があり、また被相続人の預金口座の解約手続きにしても、金融機関ごとに対し同様に戸籍関係書類一式を提出するため、相続人の負担になっています。
通常、この戸籍関係書類一式は原本還付ができるので、集める戸籍謄本等は1通で足りるのですが、実務上は原本を法務局や金融機関等に預けることとなるため、同時に並行して手続きをとることはできず、順番に手続きを進めていく必要があります。
新制度では、最初に戸籍関係書類等の一式を法務局に提出すると、法務局から相続情報を記載した証明書(証明文付き法定相続情報の写し)を交付され、この証明書を使えば、膨大になりかねない戸籍等の原本を提示することなく手続きを進められ、確認の手間が省けるため、メリットと言えるのではないでしょうか。
相続手続きの簡素化は、相続人や金融機関の負担軽減を図るとともに、煩雑な手続きが大きな要因とされる所有者不明土地や空き家問題の改善も期待されており、政府が6月に決定した「ニッポン1億総活躍プラン」に盛り込まれました。ただ、新制度になっても、一度は戸籍等の必要書類を集めなければならないのは変わりません。
法務省は、パブリックコメントを実施した上で、登記に関する規制を改正して、来年5月の運用開始を目指すとしています。高齢化が進む日本では、今後も相続の発生は益々多くなりますから、手続きが少しでも簡素化されることを期待したいものです。

資産税部課長 中嶋彰秀

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