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[159号] 賃上げに経営者は慎重

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平均年収は20年前を下回る・・
賃上げに経営者は慎重

中央総研ニュース3月号で「日銀がマイナス金利の導入に踏切ったのは、マネーの流れを変えることによって日本経済を活性化し、消費者物価の上昇に大きく影響する賃金を引上げ、デフレ脱却をバックアップすることが最終的な狙いである。」とコメントしました。

2016年賃上げは前年を下回る!

問題の賃金水準は、1995年から低下し続けていましたが、アベノミクスにより2014年は前年比でアップし賃金の低下傾向に歯止めがかかったものの、20年前と比べ、いまだ9%も低い水準にありデフレ要因となっています。

そのため、安倍政権も日銀もデフレ脱却のカギを握っている賃金引上げに、「官製春闘」といわれるほど力を注いでいますが、中国経済の減速などの海外要因や円高株安などを背景とする先行き不透明感により、大手企業の経営者は固定費増に慎重となり、2016年の賃上げは前年を大きく下回る見込みとなっています。
したがって、企業業績の改善が賃金上昇につながるという「経済の好循環」は、先行き不安の壁に直面し、ますますデフレ脱却は困難となってきました。
私は、昨年の中央総研セミナーにおいて「労働力人口が確実に減っていく社会であるから、企業存続のためには賃金構造を改善していくことが必要である」と述べましたが、現在の日本の賃金構造の実態をご説明しましょう。

年収480万円超なら上位20%以内の水準

日本の4,756万人の役員を含む給与所得者のうち上位1%に入る高所得者は、年収1,500万円超であり、企業業績を支える上位20%の働き蜂の年収は年収480万円超の水準です。皆さんの企業はいかがですか?人材を確保するためには平均年収を415万円以上にしたいものです。

もちろん賃金は固定費ですから企業経営にとって重荷です。そのため、商品や販路の見直しとともに、社員のやる気を引出し生産性アップに結びつくような業績賞与のウエイトをアップすることによって定着性を高め年収を引上げていく工夫が必要です。

代表社員会長 小島興一

税金ミニ情報

『企業版ふるさと納税』の創設
~税負担軽減は寄附金額の約6割~

大人気の「ふるさと納税」。地方自治体にした寄附が税金から控除されるうえ、地域の特産品などがもらえるということで注目が集まっているため、今年の確定申告では、非常に多くの方々の申告において、控除の申告をさせていただきました。
これまでの「ふるさと納税」は、個人が主な対象になっていましたが、平成28年度税制改正では、法人が地方公共団体に寄附した場合に税額が軽減される「企業版ふるさと納税」が創設されます。
「企業版ふるさと納税」は、青色申告法人が改正地域再生法の施行日(平成28年4月1日になる見込み)から平成32年3月31日までの間に、地域再生法の認定地域再生計画に記載された同法の地域創生推進寄附活用事業に関連する寄附金を支出した場合に、寄附額の3割を法人事業税及び法人住民税から税額控除できる措置となります。
地方公共団体への寄附は、従来から全額損金算入が可能であり、法人実効税率分(約3割)の負担軽減措置が設けられているため、「企業版ふるさと納税」による税額控除(寄附額の3割)が加えられることにより、寄附額の約6割の税負担が軽減されることになります。

なお、地方公共団体は寄附を行う企業に対し、補助金を供与する、入札や許認可で便宜を図る等、寄附の代償として経済的利益を与える行為は禁止されているため、お礼の範囲は今後の注目点です。

代表社員 小島 淳次

税金ミニ情報

2016年度診療報酬改定
~地域包括ケアを目指して~

前号に引き続き、4月からの診療報酬にかかる主な改定項目をみてまいります。

個別の改定項目で主なもの

<地域包括ケア病棟の評価>

「地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料」で、これまで包括されていた手術や麻酔にかかる費用を出来高で算定可能に。
比較的軽度な急性期患者の入院機能を担わせたい考え。
地域包括ケア病棟・・・急性期治療を経過した患者および在宅において療養を行っている患者等の受け入れ並びに患者の在宅復帰支援等を行う機能を有し、地域包括ケアシステムを支える役割を担う病棟

<夜間看護体制の充実に関する評価>

(1)看護職員夜間配置加算の充実
(2)夜間急性期看護補助体制加算への「夜間看護体制加算」の新設
(3)看護補助加算への「夜間看護体制加算」などの新設
(4)有床診療所における夜間看護配置加算の充実看護職員の夜間業務負担を軽減することが狙い。

<在宅専門診療所の位置付け>

在宅医療への取り組みを促す狙いがある一方、集合住宅や施設の入居・入所者だけでなく、地域の患者も広く診るよう促す狙いがある。在宅専門診療所の施設基準は、重症患者割合を5割以上に設定。

<かかりつけ医の機能評価・充実>

「認知症地域包括診療料(加算)」(原則一人の患者につき一つの医療機関のみ算定可能)と「小児かかりつけ診療料」(患者の署名入り同意書必要)が新設。
認知症や小児の主治医機能を強化する狙い。

前回の改定同様、医療費増加の抑制と質の高い医療を提供していくというテーマのもと、医療機関の機能分化や在宅医療の強化が打ち出されており、国は、医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に確保される体制(地域包括ケアシステム)の構築を目指していることがうかがえます。

税務会計部第1課課長 樋口 敬

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