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[158号] マイナス金利導入の効果は?

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狙いはデフレ脱却だが・・・
マイナス金利導入の効果は?

中央総研ニュースでしばしば指摘している通り、原油安による輸入物価の下落により消費者物価の上昇・デフレ脱却は絶望的となっています。

そのため、日銀は伝家の宝刀「追加緩和」として予想外の「マイナス金利」を導入しました。

マイナス金利の狙いは貸出増・円安・株高

日銀が日本史上はじめて導入したマイナス金利0.1%は、次のように金融機関の業績に配慮した穏やかなもので、既に導入しているスウェ―デン(-1.1%)やスイス(-0.75%)と比べてマイナス幅も小さく、適用対象も限定されたものです。

このようなマイナス金利を導入した日銀の狙いは、①長期金利の引下げにより貸出を増加させること、②日米の金利差を通じて円安にすること、③運用難の資金を株式や外債にシフトさせることによってアベノミクスの前提である「円安・株高」を再構築することです。いわばマネーの流れを変え日本経済を活性化させ、消費者物価の上昇に大きく影響する賃金を引上げ、デフレ脱却をバックアップすることが最終的な狙いです。
事実、今週発表になった2015年10~12月の実質GDPが前期比▼0.4%(年率▼1.4%)となった要因は、GDPの60%を占める消費支出が前期比▼0.8%、前年比で▼1.1%となったためです。

マイナス金利にしても賃金はアップしない

このように消費が低迷しているのは、2015年の名目賃金は0.1%しかアップせず、実質賃金が▼0.9%となっているためです。そのため、日銀の勝負手「マイナス金利」が、実質賃金を上昇させることができるかどうかですが、マイナス金利が抱くイメージから企業は賃上げに慎重になり、家計は節約志向となるのではないでしょうか?
恐らく日銀はマイナス金利幅をさらに拡大すると思いますが、デフレ脱却には繋がらないと思います。

代表社員会長 小島興一

税金ミニ情報

インボイス制度の導入
~適格請求書を仕入税額控除の要件に~

消費税の軽減税率制度が、平成29年4月1日から導入されることにあわせて、複数税率制度に対応した仕入税額控除の方式として、適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)が平成33年4月1日から導入されます。それまでの間については、現行の請求書等保存方式を基本とした区分経理に対応するための措置が講じられます。
適格請求書等保存方式導入後(平成33年4月~)は、原則として「適格請求書発行事業者」から交付を受けた「適格請求書」又は「適格簡易請求書」の保存が、仕入税額控除の要件とされます。買い手は、適格請求書がないと、売上に係る消費税から仕入先に支払った消費税を差し引きできなくなるため、売り手は、適格請求書を交付することのできる事業者(適格請求書発行事業者)として登録を受ける必要があります。
この適格請求書には、次に掲げる事項を記載します。

代表社員 小島 淳次

税金ミニ情報

2016年度診療報酬改定 ~前回改定からの流れ加速~

厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)は2月10日の総会で、2016年度診療報酬改定案を承認し、塩崎恭久厚生労働大臣に答申しました。昨年末に決定した改定率は、診療報酬本体部分をプラス0.49%、薬価マイナス1.22%、医療材料マイナス0.11%のほか、市場拡大再算定(爆発的に売れた医薬品の価格を引き下げ)による薬価の見直しでマイナス0.19%、全体マイナス1.03%となっていますが、中医協はこの範囲におさまるよう報酬点数の評価見直しを行いました。医療費増加を抑制し、超高齢社会にマッチした質の高い医療を提供していく、という前回からの改定方針をさらに推し進める内容となっています。

個別の改定項目で主なもの

<入院医療の見直し>

(患者)対1(看護師)入院基本料の施設基準である重症患者割合については25%に引き上げるなど、急性期病床の要件がさらに厳しく。

<退院支援に関する評価の充実>

退院支援を専門に行う看護師等を配置するなど、積極的に退院を支援する病院や在宅医療への報酬を評価し、在宅復帰の促進へ。

<回復期リハ病棟におけるアウトカム評価の導入>

リハビリテーションによる改善実績が一定の水準を下回る場合は点数算定を制限し、効果が見える質の高いリハビリを評価。

<かかりつけの医師、歯科医、薬剤師・薬局の評価>

病院と診療所の機能分化・連携の推進、重複投薬の防止や残薬の解消、かかりつけ医機能の強化を含め外来診療の質の向上を図る。
※紹介状なしでの大病院受診時には、初診5,000円(歯科3,000円)以上、再診2,500円(歯科1,500円) 以上の定額負担を義務付け。

<機能強化型訪問看護ステーションの要件緩和>

機能強化型の要件の一つである「看取り件数」のカウント方法が緩和。ターミナルケアに対応している訪問看護ステーションだけでなく、超重症児支援を行うステーションも機能強化型に該当へ。

税務会計部第1課課長 樋口 敬

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