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グループ通算制度~連結納税制度からグループ通算制度への移行~【258号】

令和2年度の税制改正において連結納税制度の見直しがあり新たに「グループ通算制度」へと移行されることになりました。このグループ通算制度は令和4年4月1日以後開始する事業年度から適用されます。

(1) 連結納税制度

連結納税制度
連結納税制度とは、内国法人(連結親法人)とその内国法人による完全支配関係にある他の内国法人(連結子法人)の全てを一のグループとして、その連結親法人が連結グループ内の法人の所得金額又は欠損金額を合計した金額(連結所得金額)を一の申告書(連結確定申告書)に記載して法人税の申告及び納税を行う制度です。
なお、連結子法人は「連結法人税の個別帰属額の届出書」を所轄の税務署に提出することになります。

① 損益通算

連結納税制度では、グループ内の各法人の損益を通算してグループ一体として法人税額の計算を行います。グループ内で黒字と赤字を相殺することで各事業年度のグループ全体の税負担を軽減することが出来ます。
なお、修正申告や更正によりグループ内の一社でも所得金額に変動があった場合にはグループ全体で連結所得金額及び連結法人税額の再計算を行う必要があります。

② 欠損金控除額の全体計算

過去10年以内に生じた連結欠損金は、連結所得金額から控除することが出来ます。連結欠損金の控除金額はグループ一体として計算することとされており連結欠損金控除前の連結所得の金額の50%相当額が控除限度額になります。
ただし、連結親法人が中小法人等に該当する場合は、連結所得の金額を限度として控除することが出来ます。

(2) グループ通算制度

グループ通算税制
グループ通算制度とは、連結納税制度と同様に完全支配関係のある企業グループ内で損益通算及び欠損金の通算を可能としながら、その企業グループ内の各法人を納税単位として、各法人が法人税の申告及び納税を行う制度です。

① 損益通算

グループ通算制度においても、グループ内の各法人の損益を通算しますので、連結納税制度と同様にグループ全体の税負担を軽減することが出来ます。
なお、各法人が申告及び納税を行うため、連結納税制度のように申告を目的として通算グループ全体の所得金額や法人税額を計算することはありません。
修正申告や更正により各法人の所得金額又は過年度の欠損金額が事後的に変動した場合でも原則としてその影響はグループ内の他の法人には波及されず、一定の調整を行った上で各法人のみで欠損金の繰越控除額の再計算を行うことになります。

② 欠損金控除額の全体計算

グループ通算制度においても、繰越欠損金の控除限度額は通算グループを一体として計算することになります。控除限度額は通算グループ内の各法人の欠損金繰越控除前の所得金額の50%相当額の合計額になります。
なお、通算グループ内の全法人が中小法人等である場合は、通算グループ内の各法人の欠損金繰越控除前の所得金額の合計額が控除限度額になります。

(西村)

・続きの記事はこちら

グループ通算制度(第2回)~連結納税制度からグループ通算制度への移行~【259号】
・前回の記事はこちら [postbox id=586] 連結納税制度からグループ通算制度へ移行する場合の経過措置 1 既に連結納税制度を適用して…

 

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