ニュース

災害により取引先等が被害を受けた場合には【217号】

 先の215号において、ご自身(個人又は法人)が災害により被害を受けられた場合の申告・納税等に係る手続きについて記載
をさせて頂きました。
今回は、法人の取引先等が被災をした場合で、その後の支援に対する取扱いについて記載をさせて頂きます。これから記載する内
容は、以前よりある通達ですがご紹介をさせて頂きます。

災害の場合の取引先に対する売掛金債権の免除等
 法人が、災害を受けた取引先に対してその復旧を支援することを目的として災害発生後相当期間内に売掛金、未収請負金、貸付金その他これらに準ずる債権の全部又は一部を免除した場合には、その免除したことによる損失は、交際費に該当しないものとする。(租税特別措置法通達(法人税編)61の4(1)-10の2)

 この通達により、要件に該当するものについては交際費もちろん寄付金以外の費用として取り扱うことが可能となりますが、具体的には次のような例示が、国税庁ホームページで記載されています。
取引先の範囲
[Q19]当社では、商社を通じた取引により商品を納入している得意先が災害により被害を受けました。この得意先とは、当社が
 自ら価格交渉を行うなど実質的な取引関係にあることから、その復旧支援を目的として、この得意先に係る売掛金の一部につい
 て、商社を通じて免除することを検討しています。ところで、法人が、災害により被害を受けた取引先の復旧過程において、復
 旧支援を目的として売掛金等の全部又は一部を免除した場合には、その売掛金等を免除したことによる損失は、損金の額に算入
 されるとのことですが、この場合の取引先には、当社の得意先のように直接取引を行っていない者も含まれるのでしょうか。

[A]お尋ねの「取引先」には、得意先、仕入先、下請工場、特約店、代理店等のように直接取引を行うもののほか、商社等を通
 じた取引であっても自ら価格交渉等を行っている場合の商品納入先など、実質的な取引関係にあると認められる者も含まれます
 (法基通9-4-6の2(注))。

一部の者が行う売掛債権の免除
[Q20]被災した法人と取引をしているのは当社も含めて10社程度ですが、当社だけが売掛債権を免除しても、寄附金又は交際費
 等以外の費用として取り扱われるのでしょうか。

[A]法人が売掛金等の債権を免除した場合に、その免除したことによる損失が寄附金や交際費等以外の費用として取り扱われる
 のは、その免除が取引先の復旧過程においてその復旧支援を目的として行われるものであるからです(法基通9-4-6の2)。
 この場合の復旧支援は、それを行うかどうかは個々の企業の判断によらざるを得ないのであり、その被災した法人の取引先のす
 べてが復旧支援を行うことが前提とされているわけではありません。したがって、被災した法人に対する復旧支援のための売掛
 債権の免除が一部の法人のみによってなされていたとしても、その免除が取引先の復旧過程において復旧支援を目的として行わ
 れるものについては、寄附金又は交際費等以外の費用として損金の額に算入されます。

売掛債権の免除の時期
[Q21]売掛債権の免除は、いつまでに行ったものが損金として認められるのでしょうか。

[A]法人が売掛金等の債権を免除した場合に、その免除をしたことによる損失が寄附金や交際費等以外の費用として取り扱われ
 るのは、その免除が取引先の復旧過程においてその復旧支援を目的として行われるものであるからです(法基通9-4-6の2)。
 したがって、売掛債権の免除は、災害発生後相当の期間内、例えば、店舗等の損壊によりやむなく仮店舗により営業を行ってい
 る場合のように、被災した取引先が通常の営業活動を再開するための復旧過程にある期間内に行うことが前提となります。

いかがでしょうか。上記のような通達等を用いて少しでも早く取引先様が復旧することをお祈りします。(川合)

新着情報

税理士法人中央総研 知識と経験を活かし、お客さまに寄り添う
NEW
2019年12月18日 来年より年末調整手続きの電子化に向けた取組がいよいよスタート【218号】
一覧に戻る
OLD
2019年11月20日 平成30事務年度の「相互協議の状況」【216号】

別の記事も読む

行事