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改正電子帳簿保存法(2年の猶予期間)【275号】

令和3年度(2021年度)税制改正における電子帳簿保存法の概要

経済社会のデジタル化を踏まえ、経理の電子化による生産性の向上、記帳水準の向上等に資するため、令和3年度(2021年度)税制改正において、「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」いわゆる「電子帳簿保存法」の改正等が行われ(令和4年(2022年)1月1日施行)、帳簿書類を電子的に保存する際の手続き等について、抜本的な見直しが行われました。

電子帳簿保存法上の区分

電子帳簿保存法上の保存区分は、①電子帳簿等保存、②スキャナ保存、③電子取引の3つの区分に分けられます。

①電子帳簿等保存

電子的に作成した帳簿や書類をデータのまま保存します。自己がPCで作成した国税関係書類や、会計ソフト等で作成した帳簿が該当します。

【区分①に関する改正事項】

  1. 税務署長の事前承認制度が廃止されました。(令和4年(2022年)1月1日以後に備付けを開始する国税関係帳簿又は保存を行う国税関係書類について適用)
  2. 優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置が整備されました。(令和4年(2022年)1月1日以後に法定申告期限が到来する国税について適用)
  3. 最低限の要件を満たす電子帳簿についても、電磁的記録による保存等が可能となりました。(令和4年(2022年)1月1日以後に備付けを開始する国税関係帳簿について適用)

②スキャナ保存

紙で受領や、紙で作成した書類を画像データで保存します。取引先から紙で請求書等を受領した場合、スキャナ等で画像データに変換したものが該当します。

【区分②に関する改正事項】

  1. 税務署長の事前承認制度が廃止されました。(令和4年(2022年)1月1日以後に行うスキャナ保存について適用)
  2. タイムスタンプ要件、検索要件等について、要件が緩和されました。(令和4年(2022年)1月1日以後に行うスキャナ保存について適用)
  3. 適正事務処理要件が廃止されました。(令和4年(2022年)1月1日以後に行うスキャナ保存について適用)
  4. スキャナ保存された電磁的記録に関連した不正があった場合の重加算税の加重措置が整備されました。(令和4年(2022年)1月1日以後に法定申告期限が到来する国税について適用)

③電子取引

電子的に授受した取引情報をデータで保存します。取引先とのメールで授受した書類や、ネット上からダウンロードした書類は、紙保存ではなくデータで保存することが義務化されます。以下のようなものも、電子取引に該当すると考えられるため、所定の方法により取引情報に係るデータの保存が必要です。

  • 電子メールにより請求書や領収書等のデータ(PDFファイル等)を受領
  • インターネットのホームページからダウンロードした請求書や領収書等のデータ(PDFファイル等)又はホームページ上に表示される請求書や領収書等のスクリーンショットを利用
  • 電子請求書や電子領収書の授受に係るクラウドサービスを利用
  • クレジットカードの利用明細データ、交通系ICカードによる支払データ、スマートフォンアプリによる決済データ等を活用したクラウドサービスを利用
  • 特定の取引に係るEDIシステムを利用
  • ペーパーレス化されたFAX機能を持つ複合機を利用
  • 請求書や領収書等のデータをDVD等の記録媒体を介して受領

【区分③に関する改正事項】

  1. タイムスタンプ要件及び検索要件について、要件が緩和されました。(令和4年(2022年)1月1日以後に行う電子取引について適用)
  2. 電子取引の取引情報に係る電磁的記録に関連した不正があった場合の重加算税の加重措置が整備されました。(令和4年(2022年)1月1日以後に法定申告期限が到来する国税について適用)
  3. 申告所得税及び法人税における電子取引の取引情報に係る電磁的記録について、その電磁的記録の出力書面等の保存をもってその電磁的記録の保存に代えることができる措置は、廃止されました。(令和4年(2022年)1月1日以後行う電子取引について適用)
    ただし、以下の要件を満たす場合には、令和5年(2023年)12月31日までは、紙出力による保存が可能になります。(2年の猶予期間)

【宥恕措置の要件】

  1. 納税地等の所轄税務署長が電子取引の取引情報に係るデータを保存要件に従って保存をすることができなかったことについて「やむを得ない事情」㊟があると認めること。(事前手続きは不要)
  2. 質問検査権に基づくデータの出力書面(整然とした形式及び明瞭な状態で出力されたものに限る)の提示又は提出の求めに応じることができるようにしていること。

㊟「やむを得ない事情」とは、電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存に係るシステム等や社内でのワークフローの整備未済等、保存要件に従って電磁的記録の保存を行うための準備を整えることが困難であることをいいます。

【電子取引の保存要件】

電子取引の保存要件として、「真実性の確保」と「可視性の確保」の2つを満たす必要があります。
「真実性の確保」とは、保存されたデータが改ざんされていないことをいいます。
「可視性の確保」とは、保存されたデータを検索・表示できることをいいます。

最後に

2年の猶予期間は設けられたものの、帳簿書類や電子取引の「電磁的記録」義務化は避けられない状況です。電子化に向けた準備を今から始める必要があります。

(礒部)

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2022年06月21日 なぜ遺言書をつくるのか?【274号】

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