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[172号] 実感のない景気回復はバブル超え・・

ニュ-ス

公示価格は4年連上昇!

先日開催の中央総研セミナーにおいて「日本が失われた20年に陥った原因は、日本の生産性が20年間で0.8%しか上昇しなかったためである。生産性が上がらないのは、売価が上がらないデフレのためである」と指摘しました。

人手不足なのに賃金が上昇しない!

事実、有効求人倍率は急ピッチに上昇し、完全失業率は2.8%と完全雇用状態にあるにもかかわらず、次のように現金給与総額の伸び率は低水準の状況を続けています。

この原因は、販売価格が上がらない結果、生産性が伸びないため賃金をあげることができない企業の実態を反映しているものと思われます。
しかし、愛知県の有効求人倍率は、全国平均を大きく上回っており、人手不足を克服するためには賃上げは避けて通ることはできず、中小企業の業績を圧迫する恐れがあります。

事実、人手不足により物流費が上がり始めたうえ、上昇に転じた原油価格の影響で、消費者物価は2017年1月に前年比+0.1%、2月に前年比+0.2%と徐々に上昇を始めましたが、日銀の目標である消費者物価2%にはほど遠い状況にあります。

土地の公示価格は4年連続上昇

しかし、異次元の金融緩和のマネーが不動産市場に流入し、三大都市圏、中核4都市(札幌・仙台・広島・福岡)の公示価格は4年連続上昇しており、値下がりが続く地方圏との間で地価の2極化がますます進行しています。

全国の公示価格の最高額は、東京都中央区銀座の山野楽器銀座本店前の㎡当り5,050万円と前年比26%上昇し、バブル期の金額を超えました。
さらに、2012年12月から始まったアベノミクス景気の持続期間は、次のように52ヵ月とバブル期を超えましたが、全く実感がありません。

代表社員会長 小島興一

税金ミニ情報

意外と知らない地方税
~固定資産税編①~

固定資産税とは、固定資産(土地、家屋及び償却資産)の毎年1月1日時点の所有者(納税義務者)に対して、市区町村(東京都特別区は東京都)が課する地方税です。固定資産税は賦課課税制度で、課税庁である市区町村が税額を計算し、納税義務者に納税額を納税通知書により通知し、納税者はそれに基づき税額を納付します。以下に、土地、家屋にかかる固定資産税について説明します。(償却資産は除く。)
【 計算方法 】
固定資産税額=固定資産税評価額(課税標準額)×1.4%(標準税率)
市区町村によっては、固定資産税に加えて「都市計画税」も課されています。
都市計画税額=課税標準額×0.3%(制限税率)
固定資産税評価額とは、総務大臣が定めた固定資産評価基準に基づいて行われ、市区町村長が価格を決定し、その価格を基に課税標準額が算定されます。固定資産税評価額は、3年に一回見直すことになっており、前回の評価替年度(基準年度)は平成27年度でしたので、次回の基準年度は平成30年度になります。
土地については、平成6年度評価額以降、地価公示価格の70%の水準になるように調整されています。
また、住宅や住宅用地については、課税標準額や税額の軽減措置があります。(次回、掲載予定)
【 審査の申出 】
固定資産税は、自分で計算して納税する法人税や所得税などの申告納税制度ではなく、国や地方公共団体が計算し納税者に通知する賦課課税制度のため、「審査の申出」の制度が整備されています。
審査の申出をすることができる者は「固定資産税の納税者で価格に不服のある者」となります。
審査の申出をすることができる内容は「固定資産課税台帳に登録された価格」に限られ、原則として基準年度の価格に限られます。
審査の申出の期間は、「納税通知書の交付を受けた日後3か月」までに限られ、固定資産評価審査委員会に文書をもって行う必要があります。

税務会計部第2課課長  磯部 勉

経営ミニ情報

金・投資のいろいろ
~利益実現時の留意点~

株式、不動産とともに運用資産として人気の高い貴金属(代表例として純金)ですが、過去30年間でみると下表のとおり金平均相場は着実に上昇しています。

1986年は1$=169.60円と円安の影響で高単価となっています。また、1989年は日経平均株価が最高だった年度ですが、2016年の株価は当時の半値であるのに対し、金相場は当時から254.8%も上昇しています。

【 金投資の種類と税金 】

1. 金地金の売買

金地金や金貨を売却すると、その売却益は非営利目的であれば譲渡所得とされ、総合課税の対象となります(50万円の特別控除と5年以上の長期保有の場合にはさらに1/2を課税対象となります)。
また、取得価格を証する書面等がないと売却価格の5%が取得価格とみなされますのでご注意ください。

2. 金積立売買

金積立も定額資金で金を購入することに変わりはなく、換金した場合は1と同様の税金が課税されます。
また、購入した金を引出した上、金地金として保有している段階では課税はありませんが、換金、コインへの交換、美術品へ加工して保管する場合にはその時点で利益が実現し課税されますのでご留意ください。
なお、1回で200万円を超える金地金、金貨を売買すると、購入業者から支払調書が税務署に提出されます。

3.金投資口座(金貯蓄口座)

銀行は金投資口座、証券会社は金貯蓄口座の名称で販売しており、金の先物価格が現物価格より高いことを利用した安全有利な確定利付き商品です。
受取った利金は20.315%の源泉分離課税となりますので申告は不要です。

税務会計部第2課部長  田中 浩司

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