第65号 2008.05.25
内閣府は、先日2007年度(07年4月から08年3月まで)の経済成長率を実質でプラス1.5%、名目で0.6%であると発表しました。
02年2月からはじまった「いざなぎ景気超え」の実感なき景気拡大は、08年3月で74ヶ月となりましたが、下表のように徐々に増加をしていた経済成長率の伸び率は、大幅に減速しました。
| 年度 | 04年度 | 05年度 | 06年度 | 07年度 |
| 名目経済成長率 | +1.0 | +1.1 | +1.7 | +0.6 |
| 実質経済成長率 | +2.0 | +2.4 | +2.5 | +1.5 |
今までロングランの景気拡大を支えてきた輸出は、下表のようにまだまだ二桁の伸び率を維持するとともに、大幅な減少を続けていた公共投資のマイナス幅の縮小というプラス要因がある07年度でした。
しかしながら、このように経済成長率が大幅に減速しているのは、次の通り民間住宅投資が前年比11.8%減少するとともに設備投資がマイナスに転じたためです。ということは、建築基準法の改正によって建築着工が大幅に遅れたことが要因ですから、07年度の経済成長率の減速は官製不況が原因であると言っても良いと思います。
| 年度 | 04年度 | 05年度 | 06年度 | 07年度 |
| 民間消費支出 | +0.6 | +1.2 | +1.4 | +1.1 |
| 民間住宅投資 | +2.7 | +0.1 | +2.4 | +11.8 |
| 起業設備投資 | +6.1 | +6.3 | +6.2 | -0.1 |
| 公共投資 | -11.6 | -4.2 | -8.0 | -0.1 |
| 財などの輸出 | +11.0 | +11.7 | +12.0 | +10.1 |
問題はサブプライム・ローンの影響が出てくる08年度(08年4月から09年3月まで)の見通しです。 政府は、08年度の経済成長率を実質2.0%、名目2.1%と高い成長率を見込んでいますが、次のように多くの厳しい逆風が予想されています。
事実、6年連続して売上高・経常利益が伸びていた上場企業の09年3月期は、経常利益は減少に転じる厳しい見通しとなっています。
| 事業年度 | 06年3月 | 07年3月 | 08年3月 | 09年3月 |
売上 |
+4.1 | +9.1 | +7.1 | 予+3.6 |
| 経常利益 | +1.5 | +10.8 | +2.7 | 予-5.8 |
そのため、08年度の経済成長率は、政府予想を下回る実質はプラス1.3%、名目はプラス1.0%と予想されています。特に、原料高により大幅に利益が減少する自動車業界のウエイトが高い東海地区には、かなりの影響が出そうです。
バブル崩壊後、10年を経過した2001年9月、日本で初めての上場不動産投資信託(J−REIT)が東京証券取引所に上場されました。当初2銘柄、時価総額2500億円でスタートした市場が2007年9月現在41銘柄、時価総額5兆円に成長しています。
不動産ファンドには「公募型」と「私募型」の2種類があります。
「公募型不動産ファンド」は、公に募集されるもので代表的なものは証券取引所に上場される不動産投資信託です。
「私募型不動産ファンド」は、不動産ファンド運用会社の商品に、限定された機関投資家が投資する不動産ファンドです。

不動産ファンドは、投資家から資金を受け入れますが、 その他、金融機関から通常資金調達額の7割程度の資金を借入れ(レバレッジ効果が期待される。)営業会社を設立します。
この営業会社は、不動産運用事業だけを行うSPCと呼ばれるペーパーカンパニー(社員はいない)で、契約に定める運用期間が終了し不動産を売却すると消滅します。
SPCは投資家と匿名組合契約を結び、テナント収入から投資家へ分配される配当金は損金に算入され、結果的に法人税等を課税されません。
不動産ファンドの運用は、すべてAM(アセットマネージャー)という組織に委託されます。
AMは不動産の運用に関する専門家で、利益を最大化する目的のもとに取得、運用、売却の管理を担当します。 また、PM(プロパティーマネージャー)と呼ばれる組織が日常の賃貸管理、テナント募集、建物修理、入出金管理を行います。
今年度に入り、メディア等で大きく取り上げられていますが、平成20年4月から「長寿医療制度(後期高齢者医療制度)」が施行されました。この制度は、今後もますます増大すると思われる高齢者の医療費の伸びを抑制し、なおかつ世代間の保険料負担の公平化を図る目的で創設されたものです。
この制度で対象となるのは、75歳以上の方と65歳~74歳で一定の障害状態にあることにつき認定を受けた方です。これらの方々は、現在加入している国民健康保険や政府管掌健康保険などから脱退することになり、今まで使用していた健康保険証に代わる「後期高齢者医療被保険者証」を使用することになります。
長寿医療制度の保険料額の計算は各都道府県によって異なりますが、所得に応じた所得割部分と被保険者均等割部分の合計額とされ、どんなに所得が高い方でも年間50万円が最高とされています。また、低所得世帯に対しては保険料が軽減される措置もあり、年金からの徴収が原則とされています。
ここで言及したいのは、現在政府管掌健康保険などの被用者保険で、被扶養者となっている高齢者の取り扱いです。もともと被扶養者であれば保険料の負担はなかったのですが、長寿医療制度の被保険者に移行することで、本人の所得に応じて保険料負担が発生することになります。このような急激な負担増に対応するため、特別措置として次のような保険料の減免制度があります。
| 期間 | 減免制度の内容 |
| H20.4.1~H20.9.30 | 全額免除 |
| H20.10.1~H21.3.31 | 均等割部分の9割を免除 |
| H21.4.1~H22.3.31 | 均等割部分の半額を免除 |
この特別措置は、長寿医療制度に加入する直前に被用者保険の被扶養者となっている者に対してのみ適用されるため、注意が必要です。(現在、減免期間の延長も検討されています。)
また、事業主にとっては、被保険者または被扶養者が長寿医療制度に加入する際には、資格喪失や被扶養者異動の届出による手続が必要となります。
この制度の創設により、世帯における保険料負担は確実に増えることになりますが、大幅に負担が増えた人に対する措置等も検討されているため、今後の改正に注意が必要だと思います。