サブプライム問題を契機に世界経済の同時減速が始まりました。外需に依存している日本経済にとっては、内需の拡大が急務となっています。例えば、00年のゼロ金利解除にあたって日銀は、企業業績の改善が徐々に賃金の上昇につながるというダム理論による消費の回復を見込んでいました。
しかし、上場企業の多くは売上高も経常利益も伸びていることを反映し、被雇用者数は04年からプラスに転じていますが、給与総額も平均給与も年々低下を続け、1年間フルに働いている給与所得者(平均年齢44.2歳、勤続年数11.6年)の平均給与は97年には467万円であったのに対して06年には435万円と10年前に比べて7%も減っています。
| 年 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
| 被雇用者数 | ▼0.9 | ▼0.1 | △0.4 | △0.6 | △0.7 | ? |
| 給与総額 | ▼3.2 | ▼2.0 | ▼0.9 | ▼0.1 | ▼0.8 | ▼0.4 |
| 平均給与 | ▼1.4 | ▼0.9 | ▼1.1 | ▼0.5 | ▼0.4 | ? |
この給与の減少に連動するように、家計の消費支出も下表のように年々減少しており、国内市場に依存する中小企業の経営者をはじめ国民の大多数が景気の回復を実感できない状況が続いています。
| 年 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
| 平均給与 | ▼0.5 | ▼0.2 | ▼0.5 | ▼0.6 | ▼1.3 | ? |
07年の消費支出はややプラスが見込まれていますが、昨年末からの株価の急落や生活必需品の高騰、サブプライム問題による先行き不透明感など消費者を取り巻く環境は急速に悪化しています。
そのため、日本経団連の御手洗会長は、賃上げによる内需拡大を求める異例の発言をしています。
確かに、それぞれの企業が賃金アップをしない限り、国内市場は低迷したままとなります。年々平均給与が下っては景気回復は困難です。他社が賃上げすることによって消費が活発化することを受動的に待つのではなく、読者である経営者の皆さんは、下表の国税庁発表の平均給与と自社の給与を比較し、少なくとも自社の給与がこの平均給与を上回るように努力することが日本経済活性化のために必要であると思います。
| 男性 | 女性 | 平均 | 着眼点 | |
| 20〜24歳 | 270 | 231 | 251 | この平均給与と自社の給与を比較して、自社の給与が低い場合は、その差額を計算してください。世間並みの給与にするには、その2倍の限界利益のアップが必要です。 |
| 25〜29 | 379 | 294 | 343 | |
| 30〜34 | 461 | 299 | 404 | |
| 35〜39 | 555 | 294 | 465 | |
| 40〜44 | 629 | 280 | 499 | |
| 45〜49 | 656 | 278 | 505 | |
| 50〜54 | 662 | 266 | 503 | |
| 55〜59 | 634 | 264 | 490 | |
| 60〜 | 456 | 234 | 370 |
勿論、自社の収益構造を改善して生産性をアップしていくことが先決です。他力本願ではなく、自社の業績改善が日本経済の再生につながるという前向きの姿勢が大切であると思います。
(小島理事長)
与党が公表した「平成20年度税制改正大綱」には、中小企業の後継者が相続する非上場株式への相続税課税を80%免除する「取引相場のない株式等に対する相続税の納税猶予制度」の創設が盛り込まれました。
現行制度では、非上場株式の相続税は10%しか軽減されず、相続税の重い負担が、事業承継の悩みでしたが、この制度の利用により相続税額の負担が大幅に軽減されるのではないかと注目を集めています。この制度の施行は、平成20年秋の見通しで、現在までに公表されている制度の概要は、下記の通りです。
事業を承継する相続人が、非上場会社を経営していた被相続人から相続によりその会社の株式を取得し、その会社を経営していく場合には、その株式(発行済株式総数の2/3に達するまでの部分)に係る課税価格の80%に対応する相続税の納税を猶予されます。
この猶予税額は、その相続人がその株式を死亡のときまで保有し続けた場合などに、納税を免除されます。
中小企業の事業の継続の円滑化に関する法律(仮称)における経済産業大臣の認定を受けた一定の中小企業
- 被相続人は、親族だけで発行済株式の過半数を有し、かつ、その親族(事業承継相続人を除く)の中で筆頭株主であったことを要します。
- 事業承継相続人は、その相続により親族だけで発行済株式の過半数を保有し、かつ、その親族の中で筆頭株主になる後継者が該当し、相続税の法定申告期限から5年間は、代表者として事業を継続する必要があります。
事業承継相続人は、上記(3)の期間経過後に、納税猶予の対象となった株式を譲渡した場合、譲渡した株式に対応する猶予税額を納付しなければなりません。
納税猶予の対象となった株式すべてを担保に供する必要があります。
(小島淳)
2007年1−12月の倒産状況が発表になっており、14,091件(東京商工リサーチ)の倒産がありました。
| 2005年 | 2006年 | 2007年 | |
| 建設業 | 3783 | 3855 | 4018 |
| 製造業 | 1971 | 1856 | 2022 |
| 卸売業 | 1837 | 1880 | 2054 |
| 小売業 | 1675 | 1784 | 1839 |
| 不動産業 | 485 | 465 | 463 |
| サービス他 | 2329 | 2499 | 2713 |
| その他 | 918 | 906 | 982 |
| 合計 | 12,998件 | 13,245件 | 14,091件 |
| 負債総額 (1社平均) |
6.7兆円 (5.1億円) |
5.5兆円 (4.1億円) |
5.7兆円 (4.0億円) |
(出所;東京商工リサーチ)
2005年は倒産件数が12,998件になっていますが、それまで継続的に倒産件数が減少してきており、14年ぶりに13,000件を下回った年でもあります。ところが、2006年・2007年は倒産件数が増加してきていることがわかります。
注目すべきは、負債総額です。各年における負債総額を倒産件数で除した1社平均の負債総額をみると徐々に減少していることがわかります。つまり、小規模企業倒産が増加傾向にあることを意味しています。実際、2006年には負債額1億円未満の倒産件数の構成比は65.4%と、1991年以降で最も高い比率となっており、2007年においても63.6%と高い比率でした。大手製造業を中心とした景気拡大の中、中小企業経営の実態は厳しい財政状態であることが浮き彫りになった形です。
また、この3ヵ年をみたとき、不動産業の倒産件数は減少していることも特徴があります。特に都市部における不動産市況の回復により、不動産事業が順調であったことを裏付ける内容であると推測できます。しかし、他業種の倒産件数が増加していること、改正建築基準法問題などにより不動産業界についても2008年は厳しい年になりそうです。
(桑原)


