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[173号] 金利引上げと資金回収に進むFRB

ニュ-ス

米国の減税実現次第で株価調整

先月開催の中央総研セミナーにおいて「日銀が異次元の金融緩和を終える出口には多くの課題を抱えており、日銀は巨額な債務超過に陥るものと思われる。一方、FRBの出口戦略は順調に進んでいる。」と指摘しました。

FRBの出口戦略の進行は要注意!

量的緩和を終了する手順は「①国債などの購入をやめる・②金利を引上げる・③市場から資金を回収する」の3段階です。FRBは、第1、2段階に続いて年内に第3段階に入る意向を明らかにしました。一方、日銀は出口について言及するのは時期尚早であるとして、4月末に消費者物価の見通しを2017年度 1.4%、2018年度 1.7%と強気の見通しを発表しています。
しかし、消費者物価の過去4年間の実績は次の通り日銀見通しを大きく下回っています。金融政策だけではデフレ脱却は困難と思われます

問題は、FRBが年内に金利の再引き上げと資金の回収を進めたときの米国の個人消費や株価への影響です。トランプ公約の目玉の減税が実現すれば、高値更新が期待されますが、実現しないときは株価は大きく調整しそうです

豹変するトランプ政策、路線対立が原因?

中央総研セミナーで「トランプ大統領の公約は、経済理論として矛盾している」と指摘しましたが、予想通り国境調整税の導入を見送りました。さらに、反中国・親ロ政権と思われたトランプ政権は、公約の中国の為替操作国指定を見送り、中国習政権に融和的で対ロシア関係は悪化しています。
このように公約が豹変しているのは、トランプ大統領の側近であり反中国路線のピーター・ナバロとの政権内の路線対立が原因と思われます。
しかし、この数年中国は、人民元の下落による中国からの資金流出を防ぐためにドル売り人民元買いの為替介入をしており、トランプ政権の勉強不足を露呈しています。

仏大統領選挙結果が円安株高に・・

英国の予想外のEU離脱もあり、中央総研セミナーでは「発生する確率は低いものの、今後予定されているフランスやドイツの選挙結果次第では、円の急騰・株価暴落のリスクもある」と懸念に言及しましたが、EU残留・移民受け入れを主張するエマニュエル・マクロン大統領の誕生により、マーケットに安心感が広がり、円安・株高に潮目が変わりました
IMFの予測によると世界経済の実質GDP成長率は、2017年 +3.5%、2018年 +3.6%と緩やかに回復する見込みです。日銀によれば、世界経済の回復と円安効果による輸出の増加によって、2017年度の日本経済は順調に成長するものの、消費税率引上げ(2019年10月)の影響もあり、次のように推移する見通しです。

代表社員会長 小島興一

経営ミニ情報

平成29年度の目玉改正
~所得拡大促進税制~

所得拡大促進税制は、企業の賃上げへのインセンティブとして平成25年度税制改正で創設されました。従前からこの制度では以下の3つの要件を満たすことを条件として、雇用者給与等支給増加額(*1)の10%を限度とした税額控除が適用されていました。

1. 当期の雇用者給与等支給額が基準雇用者給与等支給額(*2)と比べて一定以上の増加割合(*3)であること
2. 当期の雇用者給与等支給額が前期の雇用者給与等支給額以上であること
3. 当期の平均給与等支給額(*4)が比較平均給与等支給額(前期の平均給与等支給額)を超えること

(*1)当期の雇用者給与等支給額の基準雇用者給与等支給額からの増加額をいう
(*2)原則として平成24年4月1日から1年間に開始する事業年度の雇用者給与等をいう
(*3)増加割合

(*4)平均給与等支給額とは雇用者給与等支給額のうち継続雇用者に対する支給額の月平均額をいう
今回の改正では、中小企業者等とそれ以外の法人で要件3の平均給与等支給額の取扱いが異なっています

中小企業者等の改正点

当期の平均給与等支給額が比較平均給与等支給額より2%以上増加している場合は従前の雇用者給与等支給増加額(*1)の10%に加えて、基準事業年度からの増加額と比較事業年度からの増加額のいずれか少ない金額の12%を控除できます。

中小企業者等以外の法人

当期の平均給与等支給額が比較平均給与等支給額より2%以上増加している場合のみこの制度が適用でき、雇用者給与等支給増加額の10%に加えて、基準事業年度からの増加額と比較事業年度からの増加額のいずれか少ない金額の2%を控除できます。

税務会計部第2課部長  田中 浩司

税金ミニ情報

意外と知らない地方税
~固定資産税編②~

固定資産税・都市計画税は、固定資産税評価額を課税標準として計算されます。住宅や住宅用地については、課税標準や税額の軽減措置があります。

住宅用地に対する課税標準の特例

課税標準額が軽減され、固定資産税が最大1/6、都市計画税が最大1/3まで減額されます。

小規模住宅用地 … 200㎡以下の部分
一般住宅用地  … 200㎡超の部分(家屋の床面積の10倍までの部分)

新築住宅に対する減額措置

下表の期間中は、120㎡までの部分について固定資産税額の2分の1が減額されます。(床面積要件あり。)都市計画税の減額措置は、原則としてありません。

3階建以上 … 3階建以上の耐火構造・準耐火構造住宅(マンション等)
床面積要件 … 50㎡(一戸建以外の貸家住宅にあっては40㎡)以上280㎡以下
課税標準や税額の上記軽減措置については、特に申請しなくても市区町村が手続きをとってくれます。

空き家と住宅用地の特例措置

以前は、どんな空き家であっても住宅が建っていることにより住宅用地の特例が適用されていました。
平成27年に施行された「空き家対策特別措置法」により、空き家が「特定空家等」に該当すれば、それに係る土地について住宅用地の特例措置の対象から除外されます。「特定空家等」とは、

①倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
②著しく衛生上有害となるおそれのある状態
③適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
④その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

にある空家等をいいます。

税務会計部第2課課長  磯部 勉

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